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トップ講師からのメッセージ−一時記憶と短期記憶

暗記術(1) 一時記憶と短期記憶

記憶力の限界について

テストでは暗記が大切であることは、言うまでもありません。
一度にたくさんのことを覚えようとすると、頭がパンクして覚えられない、という人がいますが、果たしてそれは本当でしょうか。

また、頭の良い人は、記憶できる容量が他の人より多いのではないかと考える人もいますが、これも本当でしょうか。

一人の人間が記憶できる容量は1000兆項目分くらいあるという説があるくらいで、記憶容量という面で見ると、それは無限であるといっても過言ではありません。
このように記憶容量は無限と言ってよいほど膨大ですから、少しくらい個人差があっても、勉強の暗記には影響しないと考えて良いでしょう。

記憶できる容量はそれほど大きいのに、なぜ覚えることは簡単ではないのでしょうか。
それを知るためには、記憶のメカニズムについて知る必要があります。

一時記憶、短期記憶、長期記憶

記憶は、その長さによって、一時記憶、短期記憶、長期記憶に分けられます。

一時記憶は、短い時間だけ保持される、その時だけの記憶です。覚えられる項目もわずか7個前後しかありません。記憶保持時間はわずか約20秒間です。
なぜこのような一時記憶があるかといえば、目にしたもの、耳にしたものをすべて記憶してしまうとしたら、いくら記憶容量があっても、無駄な使い方になってしまうからです。

勉強で暗記や記憶をする場合、1回見ただけで終わらせてしまえば、この一時記憶になってしまいます。そのため、20秒たてば忘れてしまいます。
ですから、暗記をするためには、その内容を一時記憶から先に進めなければなりません。

短期記憶の方法

それでは、どうすれば長期記憶にできるのでしょうか。

記憶の入り口は一時記憶しかないため、いきなり長期記憶をすることはできません。
記憶の内容を、一時記憶から短期記憶へ、短期記憶から長期記憶へ移し替えていかなければ、長期記憶をすることはできず、すぐに忘れてしまうのです。

まず、一時記憶から短期記憶へ記憶を移し替えるにはどのようにすればよいでしょうか。

必要なことは次の3点です
  • 1. 覚えようという強い意志を持つこと

    人間は、記憶容量を無駄遣いしないよう、無意味と判断したことは記憶しないようにできています。すなわち、「これを覚えよう」と強く意識しなければ、そもそも記憶することができないのです。
    好きなことなら良く覚えられるけど、勉強になると覚えられないのは、この覚えようとする意志がないからです。
    好きなことを我慢して作ったせっかくの勉強時間ですから、成績向上につなげるためには、時間を無駄にしないよう、強い意志を持って暗記に取り組んで下さい。
  • 2. 整理し、理解すること

    暗記しなければならない項目を、なぜそのようになるか、何か理屈をつけてから覚えるようにすると、一時記憶から短期記憶へ記憶を移し替えることができるようになります。
    語呂合わせで年表を覚えることや、現象をイメージしながら覚えることで、暗記の前の理解と整理ができるようになります。
    それに対して、意味も分からず暗記しようとすることは、苦痛を伴い、たとえその場で覚えたつもりになっていても、すぐに忘れてしまいます。
    記憶前に整理・理解に時間をとることは、一見すると時間を余分に使っているようですが、実はその方が効率的なのです。

  • 3. 頭の中で復唱・反復すること

    記憶する内容を整理したら、次にその内容を頭の中で復唱・反復しましょう。
    頭の中で繰り返すことにより、より確実に覚えられるようになります。
    数学の公式などは、その公式を繰り返し使って問題を解くことにより、記憶が確実になっていきます。

次に、一時記憶から短期記憶へ記憶を移し替える具体的な方法について考えます。

ノートに書き写すことによって暗記する方法があります。この時、ノートと本を数文字ごとに交互に見ながら、細切れで書き写している人がいます。
この方法では、文字を一時記憶に入れ、数秒後に一時記憶から取り出して終わりになっているので、一時記憶の範囲で作業が終了してしまい、長期記憶に移し替えることができません。
少なくとも一時記憶の20秒を越えて頭の中にとどめておくようにし、見てから書き写すまでの間に、その内容を頭の中で整理し、書きながら何度も復唱するようにすれば、効率よく覚えられるようになります。

効率的な記憶方法は他にもあります。いろいろな方法を試してみて、自分に最も適した方法を見つけ出して下さい。
また、どうしても記憶がうまくできないという人は、塾で相談して下さい。

次回は、短期記憶から長期記憶へ記憶を移し替える方法について説明します。
キーワードは、「復習」です。


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